老年期 over-the-hill 2015 1 4

書名 お金は死ぬ前に使え。
著者 荻原 博子  マガジンハウス

「日本人は、死ぬ時が一番金持ち」
 これほど不幸なことはありません。
お金は、自分のために使うか、
愛する人のために使うか、
慈善事業のために使うべきでしょう。
 著者は、こう書いています。
60歳以上の平均貯蓄は、2384万円。
こんなに持っているのに、
なぜ使わずに貯めこむのか。
 年金、医療、介護の不安は、取り越し苦労。
楽しく使い切って、
死ぬ時に後悔しないのが、幸せな人生である。
(引用、以上)
 もうひとつ引用しましょう。
これは、約20年前の話ですが、
100歳を超えた双子の高齢者が話題になりました。
 双子の高齢者がテレビに出演した時に、
レポーターから、
「テレビの出演料、ギャラは、何に使いますか」と聞かれたら、
「半分は寄付して、残りは老後のために貯金するかね」と答えたそうです。
 100歳を超えた人が、
「老後のために」貯金するとは、驚きです。
 なぜ、貯めこむのか。
著者は、こう指摘します。
今の70代、80代は、日本で最後の「飢餓体験」をしたからです。
 この世代は、戦中、戦後の
「日本から、さまざま物資が消えた時代」を経験しています。
 戦中は、生活必需品が配給制になり、
終戦後は、食糧難となりました。
 「日の丸弁当」を知っていますか。
これは、私が、高齢者から聞いた話です。
 若者には、「日の丸弁当」というと、
なんだか、かっこよく聞こえるかもしれませんが、
実は、弁当箱を開けると、
ごはんの真ん中に赤い梅干が入っているだけです。
おかずはありません。
 これでも贅沢なほうで、
白い「ごはん」を食べらること自体、贅沢だったのです。
「コメ」ではなく、麦や雑穀が普通だったというのです。
 さて、この本には、
年金の問題、医療の問題、介護の問題、
お金の使い方まで書いてありますので、
「一家に一冊」置いておくべき本でしょう。
 さて、漢文が得意だった西郷隆盛の漢詩を紹介しましょう。
「偶成」とは、ふと思いついてできた作品という意味です。

「偶成」 西郷隆盛

幾歴辛酸志始堅
丈夫玉砕恥甎全
我家遺法人知否
不為児孫買美田

何度も辛酸をなめて、始めて志が堅くなる。
男らしい男というのは、いさぎよく玉と砕けるもの、
なすこともなく生きながらえるのを恥とする。
わが家に伝わる教えを人は知っているだろうか。
それは他でもない、
子や孫のために、財産を残さないということだ。

「大人の国語力がつく漢詩100選」(守屋 洋)から引用。




























































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